VMDを導入すれば売上アップが期待できます。
VMDによりマーチャンダイジングの視覚化をすることで、(課題のある)現状よりも
といったことになるからです。
VMDに取組んでいない店舗や売場がVMDを導入すると、まず上記のような効果を得ることができます。
そうなるためには、VMDの導入以前の話題として商品計画や販売計画の施策としての精度向上や、買付・展開・販売上のコントロールが不可欠なのも事実です。なぜなら、よほど需要が供給を上回る場合以外は「展開商品(種類・量)を増やした分だけその分売上がアップする」ということにはならないからです。今この瞬間、課題感のある特定の箇所でVMDにより売上アップを試みることも無論重要なアプローチですが、それは対処療法であり、売場全体=身体全体の体質や健康を改善するのは難しいのです。
展開商品をスクラップ&ビルドで適時見直し、合理的に絞り込み、管理をし易くすること。それによる適正在庫の実現。それによる様々な経費の縮減。このような効率改善の積み重ねが結果的に売上アップと利益率アップにつながる側面があります。この効率改善の流れの中にVMDを組み込むことで効率改善に向けた相乗効果が最大限期待できます。
そもそもマーチャンダイジングというのは売上アップのためにあると言えます。「お客様の欲しい時に、欲しいものを、欲しい量と欲しい価格で、適切に提供し最大満足頂く」のがマーチャンダイジングの目的。お客様にその時どきで最大ご満足いただけた結果が売上です。お客様のこと、需要を考えて売上がさらにアップするような施策をかなえていくのですが、その流れの中にVMDを組み込むと良いのです。
マーチャンダイジングの流れの中におけるVMDの本質的な役割が「お客様の購買意欲の喚起」だからです。
マーチャンダイジング設定の流れは以下のようなものです。
トレンドに合わせてどのようなVMD手法をとるか。シーズンの中でいつどのような装飾演出をかけるか。紹介期にどこでどうクローズアップして打ち出すか。最盛期にはどれだけの単位を展開としてどのように形づくるか。店頭で価格訴求をどのように行うか。顧客関心度に合わせてどのように分類し陳列し、コーディネイトして魅せるか。欠品してきたらどのように再編集するか。VMDとして、今年は前年の何を活かし来年は何を反省にするべきか。お客様の共感と支持を得てより売上をアップするためにVMDの効力を発揮するというのは本来こういうことで、日々展開を新鮮に切り替えていくための古典的なセオリーです。
VMDは上記すべてと関わり、年間を通してシーズン提案やクローズアップのメリハリを意識しながら、演出表現が薄まらぬよう計画的にVMD予算をつけて運用される必要がありますから、商品計画の段階から商品担当と売場、販促スタッフと密接に連携することが望まれます。VMD予算の獲得と最適配分もVMD実務者の重要な仕事ですね。最適な時期に最適な展開とクローズアップ表現をすることで、直前の計画で無策に展開するよりはるかに売上獲得が期待できます。
上記に示したマーチャンダイジングの設定の流れに対し
など、いまこの瞬間を反映した妙が振りかけられ、マーチャンダイジングがより独自性を帯び、ファンを創り、売上アップの原動力になるのですから、VMDも優秀なそれぞれのプロとの共業で相乗効果を生み出すべきです。 相乗効果を生み出せば、一貫したテイストも生み出されます。
上記のマーチャンダイジングの解説は売上とVMDの関係を理解するのに必要な内容ですが、マーチャンダイジングとは別にもっとシンプルに売上アップのことを考えてみましょう。
売上をアップさせるには、
①客数をアップさせる
②客単価をアップさせる
となります。
VMDにより顧客の共感を呼ぶ展開を実現しファンになっていただければ、①来店頻度を上げられる可能性があります。魅力的なVMDと商品の打ち出しで顧客の購買心理を刺激できれば①買上客数を上げられる可能性があります。
VMDにより付加価値を上げて見せることで、より単価の高い商品に顧客を誘導し②買上単価を上げられる可能性があります。VPやラック内のコーディネイト完成度を高めて複数商品を関連付け、セット率を上げれば②買上点数を上げられる可能性があります。
VMDと売上の関係において、主にこれらの観点で叱咤激励されている方が多いのではないかと思います。まったくその通りで、すぐにでもできる改善、精度アップの処方箋として、日々の売場運営においては常にこれらを頭の隅におき、工夫していくべきです。
ECの拡大隆盛、リアル店舗の同質化進行とパイの縮小が止まらない昨今、件のリアル店舗ではまず客数を上げるのが重要ですから、その点においてはまず「来ていただける店創り」「行きたくなる場創り」が必須で最重要です。そのために環境や演出が前面に主張して品揃えのテイストを増幅していないと顧客満足につながらないので、その点においては教科書的マーチャンダイジング理論以前に「呼べる施策」としての場がまず形創られること、あらゆる発信機能を効果的に駆使するという前提が必要になります。
発信機能とともにデジタルを含む販促手法をVMD手法と融合させ、シカケやシェアの拠点化をして購買意欲を上げる必要があります。これを進めることで買上点数、買上単価を上げられるだけでなく、これまで未アプローチの新規顧客獲得による売上向上が見込めるため、インフルエンサーの活用や様々なコラボレーションによる新規性のある施策、SNSとの連動やアプリの開発導入に躍起になっているのは皆さんよくご存じの通りです。この状況も、数年のうちにどんどん違う次元に進化することでしょう。
がますます重要になってくるので、VMDもそれに伴い様々な進化発展をする必要があります。まず場創りと呼び方があり、それを裏付ける形で従来のマーチャンダイジングの組み立てがなされるでしょう。
黒子として活動するバイヤーの目利きが顧客を呼ぶのではなく、企画する人が主役のマーケティングとネタと発信が顧客を呼ぶ時代です。VMDもその役割と範囲を柔軟に理解して超えていかねばなりません。
こうして立ち上げた店舗や売場は、最初の完成度の高い状態からずっと変わらずにその質を維持継続させるのは難しいもので、当初計画から修正が繰り返されて変質していくことが多いです。もちろん中身の修正は売上の維持向上と売場進化の観点から必要ですが、当初のコンセプトを失って環境との齟齬を生み正体不明になったり、無策に什器や商品を増やして展開の質を落とすのは良くありません。
オープンして離陸した店舗や企画はここから先はマーチャンダイジング理論とVMD理論をもって、当初コンセプトの理解と共有を根底に持ちながら科学的に運営され、売上アップの検討がされていくことが必要でしょう。従って、マーチャンダイジング理論とVMD理論は今後も変わらず「基本」として理解継承される価値のあるものと言えます。
VMDによる売上アップは、前述した項目の総合的な取組みの成果として現れます。
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