早いものでもうすぐ12月・・・
VMD業界界隈にいると、クリスマスの準備、施工、撤収・・これの一連の期間はみなザワザワバタバタと多忙になるものでして、これは小売もデザインも関係なく同じです。私が所属している日本VMD協会にも、このようなクリスマス演出のお仕事をされている方が大勢おられまして、皆さんこんな感じでザワザワバタバタ中。
12月24日はクリスマスイブではなく、撤収前日・・・
12月25日はクリスマスではなく撤収日であり大歳の市や年賀装飾の準備日・・・
今年のクリスマスが終わったら、次の日から来年の企画が始まる・・・
みたいな。
これは全世界共通でしょう!
昨日は表参道の専門学校で一日講師業務でしたので、帰りに表参道ヒルズに立ち寄りました。学校出ればそこはけやき通りですから、この時期はほんとテンション上がります。
並木のイルミネーションの点灯は12/1からということでまだでしたが、ヒルズの吹抜けはもう立ち上がっていました。
アーティストユニットDAISY BALLOONさんによる、「浮遊する光のバルーンツリー」。一つひとつを手作業で作り上げた約1万4,000個のバルーンを用いているそうです。
まさに浮遊感。ほんわかしていてとても綺麗でした。
バルーンはつぶれたりするのかしら・・メンテ発生するのかな・・みたいなことを考えちゃうのが職業病。今そういったことはないんでしょうね。
この、ほんわかかわいい没入感の中、ツリー手前の階段には毎年のことながら滞留防止のための警備員のおじさんが。これがまた雰囲気台無しなんですよね。。角度によるけど写真に写り込むし。仕方ないけど、警備員の人選とか恰好もイメージと連動できたらいいのにね。
表参道ヒルズのクリスマス演出で私がこれまで一番好きだったのは、2017年にエマニュエル・ムホーさんが手がけた「100色のクリスマスの森」です。
毎年表情がガラっと変わるから楽しいですね。
前職で新宿伊勢丹の装飾担当だったとき、本当にラッキーなことに毎年クリスマス装飾実務に関わらせて頂いてました。全館の環境装飾、売場のVPやPPの装飾やクリスマス売出の特別装飾、1Fの中央ストリートに今は無き大階段、三角ステージ、玄関周り、そしてショーウィンドウ。
私はまだ若手でしたが、上司で大変お世話になった凄腕辣腕女性課長がすべてを取り仕切っていたのでとにかくすべての打ち合わせに同席させてもらい、課長が用材卸に細かく特注するさまや、デザイナー、スタイリスト、メイクアップアーチストとマネキンをセレクトするさまや、ディスプレイデザイナーが考える構図構造を施工業者が現物に置き換えていく流れ、それらが現場で実態として施工されていくさまを目の当たりにしました。
毎年変わるツリー素材のサンプルやフラッグ生地、ペッパーライトを毎年設備担当と不燃確認したり、電気配線の箇所を電気工事業者とチェックしたり、当然ながら装飾物を設置する売場との確認折衝。こんなに色んなことしないといけないのね。
重役答申用のパースがたくさん必要なので、私がコッソリ描いたことも。この頃はCGやPhotoshopなんてない時代。デザイン会社にお邪魔してマーカーお借りして楽しかった。昔はこんなことしても怒られないおおらかな時代でした。大掃除の時に棄てられそうなところ、自分の描いた絵だけプレゼンボードから剥がして記念にもらいました。今では大事大事な宝物。
立ち上がったら終わりではなく、その日から毎日メンテナンス。毎朝開店前に全館のツリーとライトをチェックし、ステージやVP廻りを掃除。ホンモノのコニファーを全館に配置したときは店内の暖気で卵から虫が孵って売場で騒ぎがおきたりして対応したり(笑)そんな毎日を12月25日、そして26日の朝まで過ごします。
現場にも徹夜で張り付いて、今思うとホント毎日活き活きして楽しかったですが、何がわかったって、クリスマスの演出にこれだけ多くのヒト・モノ・カネが動く・・ということです。
日本では残念ながらバブル終焉以降、このようなリアル店舗の演出にヒト・モノ・カネ、とくにカネを割けなくなったのですが、いつかまたヒト・モノ・カネを投じられる気運となる時代は来るのでしょうか。
モノは商品だけではないし、今はSDGsなど念頭に材料にも配慮が前提となりますからなお難しいところです。
若手装飾担当だった頃の私には、当時頭の隅にもなかったことがあります。
本場、海外のクリスマス演出 のことです。
自分の働く会社の、その世界の中のことしか知らず、もちろん都内ライバル店はちゃんと見てましたが、そこから外に目も向いていませんでした。今みたいにネットやSNSなんかで情報を取れる時代でもなかったとはいえ、やはりここが課長さんと違うところですね~・・・
課長さんは、毎年欧米のクリスマス演出動向をお抱えデザイナーやスタイリスト、社内研究部門と深々とチェックしており、私がそういう動きを察知するようになった頃には実際にデザイナーとNYにクリスマス視察に行ったりして、本拠地でのデザイントレンドや表現手法を調べ、まだどこもやってないような表現とか色のことをいつも考えていたんですね。それで、毎年ツリーやリース、スワッグの素材とオーナメントを変えていました。
オーセンティックな緑もあれば、ある年は上品な赤に、ある年は純白に、ある年は黄金褐色に、ある年は光るオブジェに、ある年は本物のコニファー造園に森林の香りを噴霧したり。
これは本当にワクワクする体験で、他の何ものにも代えがたいものです。「来年は赤にしようと思ってるのよ!真っ赤に!キャンディレッドよ!!怒られるかしら!!」とか言って、後日打合せでサンプルが実際に開陳されたときの新鮮さ。これがキャンディレッドか!!そして、それが全館装飾演出となって眼前に実現されたときの圧倒的な非日常感と体験的没入感。
本場NYやパリは、当然ながらもっともっと表現の幅やスケールが大きく、持っているストーリー性、そして文化からくる演出に対する市民の期待度が違うわけですが、こればかりはなかなか現地に行って見られるものではありません。
課長さんが現地視察出張から帰った日、写真早く見せてくださいね!と言ったら「アタシはね、写真なんか撮らないのよ!目に焼き付けなきゃだめよ!目に!」
と言われてハッとさせられました。目と脳に焼き付けないとね・・・
その後私は何度かNYやパリに視察出張の機会がありましたが、クリスマスシーズンに行ったことはありません。一度行ってみたいものです。
そんな、なかなか海外現地のクリスマス演出を見る機会のない私たちに、「行った気になる」機会を提供してくれるイベントがあります。
私が理事もしております日本ヴィジュアルマーチャンダイジング協会主催によるウェビナー、「World Wide Christmas」が今年も開催されます。
ロンドン、ニューヨーク、パリ、東京のクリスマス演出の最新動向をチェックできます。
世界のクリスマスを起点にVMDの新時代を読み解くビジュアルセミナーをウェビナー形式で開催。
Now & Next をテーマに、Paris・London・New York・Tokyo の最新クリスマスレポートとそこから見えてくるトレンドを解説します。
開催日: 12月17日 (土) 18:00開始 〜 20:00終了
チケット代金:一般4,000円、VMD協会会員2,000円、学生2,000円
形式: Zoomウェビナー
パネリスト: ケアリーちあき(London)
田尻 尚美(New York)
宮木 淳(Paris)
和泉 桂子(Tokyo )
アーカイヴ配信で12/31まで視聴可能になるようです。
参加申込(チケット購入)/Peatixからどうぞ
https://worldwidechiristmas2022.peatix.com/view
チケット販売期間:12月18日 (日) 17:00まで
主催:日本ビジュアルマーチャンダイジング協会(企画運営/情報チーム)
目と脳に最新事例を焼き付ける好機です!
ぜひご参加してみてください。