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京屋展示会 POP-UP! POP-UP! GALLERY

 

6/6・7の二日間で、マネキン事業者3社が展示会を行いました。それぞれにテーマを持った工夫にあふれる展示でなかなか面白かったのでマネキンマニアとしてブログ上で記録として残しておこうと思います。

 

まずは京屋さんの展示会から。

 

素敵な会場。京屋の皆さんは建物とキービジュアルに合わせてブラック&ホワイトのドレスコードでした。
素敵な会場。京屋の皆さんは建物とキービジュアルに合わせてブラック&ホワイトのドレスコードでした。

 

 

「POP-UP POP UP! GALLERY」と称しまして、表参道のSO-CAL LINK さんで行われました。250㎡ほどの、西海岸風コンパクトなギャラリー。外光が入ってなかなか素敵な会場です。あまり積極的に告知をされないと伺っていましたが、雨なのになかなかの盛況でした。

 

案内状にも書いてありましたが、イベント・プロモーション・展示会・催事・期間限定ポップアップショップなど、様々な「スペース」で活用できる楽しい使い方をリアルに紹介する企画。「"そこのスペース"有効に使えてますか?」という投げかけで、space = fixture ✖ product ✖ idea というキーコンセプトに従い、京屋さんオリジナルのリース什器とVMDツールが数パターン、「これ丸ごとセットでいくら!」というIKEAみたいなプレゼンテーションがされています。気に入ったパターンがあったら丸ごと発注できますし、実際会場で丸ごと受注があったようです。昔から、リース什器屋さんの什器カタログではベーシックな基本什器パッケージ提案を見ることはできましたが、デザインやマネキンも付加してPOP UPに特化した展示会というのはとても珍しいですね。各ブースは地型がテープでマーキングされていて、スケール感が平面的にも把握しやすいという細やかさ。

 

ギャラリーの前に車をつけて搬入し、4時間あまりで設営し終えたというから驚き!

 

この展示会自体がPOP UP SHOPですね!
この展示会自体がPOP UP SHOPですね!
こういう気の利いた販促品のビジュアル連動もPOP UPには重要ですね。。
こういう気の利いた販促品のビジュアル連動もPOP UPには重要ですね。。

 

展示会のタイトルにもなっている「POP UP SHOP」となはんでしょう。

私が仕事の中で初めてこの言葉を聞いたのは、忘れもしない新宿伊勢丹婦人フロア再開発リモデルのストアプランMTのときですから8~9年くらい前。リ・スタイルという自主編集売場のバイヤーが、売場の展開分類表の中に「POP UP」と書いてきたので、そういう風に言うんだ!って発言した記憶があります(笑) 当時すでにパリのコレットやメルシーあたりで盛んに使われ始めていた言葉らしく、従来は長らく「プロモーションコーナー」とか「提案ゾーン」とか呼んでいた1~2週間程度のタームで企画やブランドを新鮮味を持って入れ替える売場内の一角のことで、言葉の響きもあってヒジョーに新鮮ですごくしっくりきたものですから良く憶えています。以降、気がつけばあっという間に全国区のコトバとして広まっていたように思います。「POP UP SHOP をローンチ」みたいな。

POP UP とは、文字通り「突然ポッと出現する」みたいな意味ですから、何もなかったところや昨日までそうじゃなかった場所にポッと新しい売場が出来てる!ということ。更地に翌日突然お店ができてて、ある日忽然と更地に戻ってるとか。まあ日本だと酉の市の屋台もそうかも(笑)

感覚としては、いつもの公園で突然ラフレシアの花が咲いた!とか(笑)ホテルのロビーに突然Tレックスの全身骨格が展示された!とか、路面のいつものお店が突然別のブランドにビジュアルごとジャックされた!みたいな、アッ!という「突然出現感」がキモでしょう。そして、そう見えるためには

 

「周囲やいつもの売場の風景とは明らかに違って見える」

「明らかにクローズアップされて見える」

「一瞥して全体が把握できる、ある程度コンパクトな規模である」

 

ことが用件となり、

 

明確なテーマ

明確にいつもと(周囲と)違って見えるデザイン

クローズアップされて見えるアイキャッチポイント

周囲からノイズカットされる構造

 

があることが望まれます。

特に「デザイン」と「アイキャッチポイント」はワンコーナーのショップビジュアルイメージそのものなので、VMDそのものと言えます。それに対しいかにテーマを明確に伝える要素を掛け合わせ、周囲からノイズカットさせるか!がプラン上重要でかつ難しいと言えます。

そんな緒要件の具体的解決策も含めて、パッケージとしてPOP UP の丸ごとセットアップを複数パターン提案したのが今回の京屋さんの展示で、使い手が実際の使い勝手や構成、予算まで想像しやすい内容です。

では「丸ごとパッケージ」をいくつかご紹介しましょう。

 

スポーツショップのパッケージ例。うかつにも写真撮り忘れていたので価格表のCGで。。。1カ月レンタル307,800円(バナーやパネルは別途料金)。ブラックで統一されたフレームシルエットと構成、スポーティなカラービジュアルでPOP UP感出てます!

 

雑貨ショップのパッケージ例。1カ月レンタル71,500円(バナーは別途料金)。ワゴンなかなかかわいい!最下段の網カゴが素敵。そして、個人的にはボディと棚がセッティングされているW500の什器がワンポイント効いていてなかなか新鮮でした。自宅に欲しいですよ。全体的に控えめでシンプルなナチュラルテイストながら「MD映え」でPOP UP感を決める感じですね。

 

衣料品のパッケージ例。1カ月レンタル95,400円(デジタルサイネージやパネルは別途料金)。会場中央で、壁面や柱がないオープンな空間に対し、統一テイストを帯びたゴールドの什器フレームで「結界」を作って周辺からノイズカット、結界と見通しを両立させつつ超薄型両面ビジョンとマネキンでキャッチポイントを作っていました。このビジョンなかなか優れモノですが70万くらいするそうです!このビジョンから電子ペーパーの話が盛り上がったのが楽しかったな・・

 

大型VPのパッケージ例。1カ月レンタル493,500円。このくらいインパクトある壁面でコーナー形成できるとPOP UP感ハンパないですね!

床もやってみたい感じです。

 

フードワゴンのパッケージ例。ワゴン3面+連結棚2面で1カ月レンタル107,100円(ボードは別途料金)。実際、このくらいマルシェ感のあるリース什器で食品展開したら楽しそう。向かえ合わせでストリートを形成しても良いかもしれません。

 


 

売場の運営側からしますと、POP UP SHOPには、POP UPとして使う「場」にいくつかのグラデーションがあります。これは面積による違いもありますが、内容ではなく展開される場所の特性による要件です。


単位が小さいものから…

① 什器1台
②  〃 数台(分のコーナーで床のみ)
③ ①又は②+柱面
④ ②+壁面
⑤ 専用の床壁天井柱の空間(売場スペース)
⑥ オープンのパブリックスペース

 

先にご紹介したいくつかのパッケージも、上のいずれかに当てはめることができます。

結界によるノイズカットやテーマの打ち出し、アイキャッチを作るのが案外難しいのは周囲売場と見え係りが被る①~③でして、売場内のPOP UPだと更に「ポッと現れた感」が乏しくなります。実際はこういう小さい単位をPOP UP と称して使うことも多いのではないでしょうか。

 

展示会受付の右横に合ったカタログなどの展示台・・・

これがヒジョーに①②くらいの小規模イメージに近かったです。写真撮り忘れました・・・

 

小さい単位のPOP UPも含め、POP UPたる見え係りになるようボードやバナー、POP、柱巻きや床面などもトータルでビジュアルデザイン、製作、設営して頂ける「リース什器パッケージ」というのは、大掛かりな造作の必要性もなくお店にとって運営の効率化が望めるのではないでしょうか。space = fixture ✖ product ✖ idea の "idea" を感じられる要素はこれらビジュアルデザインの部分とも言えますからね。

パッケージ価格は比較的リーズナブルとはいえ、これらの付加要素は運搬設置等諸経費とともに別途価格ですので実行予算があればぜひ!展示会に特に良いと思いました。

 

今回の展示の中でサラリと置かれていた、イタリアのマネキンメーカーabcのマネキン。京屋さんがライセンスを取得されたとのことで展示されていました。3シリーズ出ていましたが(名前忘れた・・・)実に細くて胴体の厚みが薄く、造形が巧み。特に右の子が独特のアンニュイで気だるいニュアンスが魅力的で、テイストが嵌れば世界観を醸成できるマネキンです。使ってみたい!と思わされました。配れるカタログはないそうで、思わずカタログサンプルを撮らせて頂きました。

 

やはり、マネキンメーカーさんの展示はマネキンチェックしないと!