· 

リモデルとVMD実施の現場

 

VMDコンサルタントとしての完全独立を目指し会社を辞めてちょうど1年。あっという間。。

その節目のタイミングで、VMDコンサルとして携わらさせて頂いた初めてのリモデルオープンの現場を迎えることができました。売場作りに関わる全員の力で、素敵な売場ができました。いや~~本当に幸せです!

 

 

ある地方百貨店様のリモデル案件。平面プランの途中からですが、婦人靴と婦人雑貨のストアプランに参画させて頂きました。VMDは一般的に「ディスプレイ作り」と捉えられがちですが、私はストアプランから関わっていくことがビジネスとしてのVMDの真価であると考えていますので、一気通貫で参画させて頂きこんなに嬉しいことはありません。

 

加えて、最近では百貨店の平場としてのアイテム別編集売場が少なくなっており、どんどん専門店さんやブランドコーナーにとって代わられていますから、百貨店の環境・展開管理・VMDコントロールで売場作りが出来る機会は希少です。私は過去に何度も婦人靴と婦人雑貨の売場作りを経験してきましたが、業務フロー・売場規模・地域特性・顧客特性などが今までのどれとも違い、かつてなく刺激的で忘れえぬ経験となりました。

このコラムでリモデル内容の詳細を書くことはできませんが、私がVMDコンサルとして念頭に置いていたことを備忘録も兼ねて簡単に書いておこうと思います。

 

フロントを張るのは有彩テキスタイルアーツのtaionさん。他のすべてのディスプレイのテイストと色合いを同調連動させます。売場の隅々まで花が咲きました。
フロントを張るのは有彩テキスタイルアーツのtaionさん。他のすべてのディスプレイのテイストと色合いを同調連動させます。売場の隅々まで花が咲きました。

 

私が今回の案件ストアプランからディスプレイに至るまで一気通貫で念頭に置いていたのは、売場作りのコンセプトとマーチャンダイジング計画を踏まえ、

  • 売場のコアを形作る
  • 隣接ゾーンとのMDのリレーションを最適にする
  • 売場全体を統合するための「場の役割」の設定を明確に行う
  • 共通部分と分類特性に合わせ変える部分を両立させる
  • フェイシングコントロールに注力し陳列でテーマと特徴を伝える

といったことになります。

 

これらすべて私が考えるVMDの要諦です。特に今回はアイテム特性・展開特性の強い売場であることから、ストアプランからVMD実務者として関わっていないと上記はなかなか達成できません。理論と経験をもとにストアプランをフィルタリングさせて頂き、実展開をセッティングすることを通じ新たな実践を行うことになります。

 

そして、今回自分に課した最大のテーマは

  • 商品で花を咲かせる

でした。靴も雑貨もです。

リモデル前の売場イメージ展開イメージとは真逆に、売場を明るくキャッチ―に、楽園のように花を咲かせてお客様に思わず「わー!ステキ!」と言って頂き、思っていただく。装飾ではなく、商品そのもので。商品の色や佇まいで花が咲いているような美しさを出したいのです。同じフロアの明るく華やかなゾーンと調和するように。商品という花に誘われ、思わず買いたくなって、買ったものを身に纏い履いて街に出てほしい!海辺を歩いてほしい!

 

商品で花を咲かせる。以前の会社ではこんな定性的な発言したら怒られたところです(笑)

でも、こういう感覚がVMDには絶対に必要ですよ。

一見定性的に感じられる言葉ですが、陳列における理論とテクニックがふんだんに織り込まれているから花が咲くのです。

 

品出し後に、展開分類及び価格とテイストの整合をチェック&検証してブランド別の陳列を補正しています。
品出し後に、展開分類及び価格とテイストの整合をチェック&検証してブランド別の陳列を補正しています。
うっかり写真を撮り忘れていますが、この後柱上PPに色映えするバッグをコーディネイトしています。
うっかり写真を撮り忘れていますが、この後柱上PPに色映えするバッグをコーディネイトしています。
ABCマート様の壁面。皆さん陳列の意識が高く、オープン後も高い陳列レベルが維持されていて素晴らしいですね!
ABCマート様の壁面。皆さん陳列の意識が高く、オープン後も高い陳列レベルが維持されていて素晴らしいですね!
外光を取り込む贅沢な壁面設計。国内の百貨店でここまで採光を立てた売場は珍しいでしょう。
外光を取り込む贅沢な壁面設計。国内の百貨店でここまで採光を立てた売場は珍しいでしょう。

 

売場メンバー、店舗の支援スタッフ、プロジェクトマネジメントや内装設計の外部スタッフと、多くのメンバーが関わるリモデル計画の推進。チームワークで、タイトなスケジュールの中それぞれが役割を果たし、素敵な売場作りが出来たと思います。大きな売場ではありませんが、ヒューマンスケールで心地よい空間となりました。

 

靴も雑貨も、各メーカーの皆様に百貨店としての陳列制御へのご理解とご協力を頂き、大変助かりました。その場で陳列変更したり商品を抜いたり、いつも申し訳ないなと思っています・・・

靴もスカーフも傘もハンカチも靴下も、IPは全て手を入れました。カラーローテーションなど、伝家の宝刀のテクニックを数年ぶりに持ち出してフル回転です(笑)今後はこのようなテクニックをOJTで改めてお伝えしていくことになるでしょう。

メーカーの皆様からはVMD(特に陳列)に関するご質問をその場でたくさん頂き、「こういう話を聞くのは初めてです!」「勉強になります!」と言って喜んで頂けてコンサル冥利につきます!このやりとりとコミュニケーションがとても有意義で楽しいんです。たくさん名刺も配れたし!

VMDは売場作りに関するすべての領域(販売・商品・内装・設備・販促)や出店業者様をまたにかけて繋ぐ役割となることができますから楽しいですよ!

 

今回はVMDツールのプランニングと製作、ディスプレイインスタレーションに、外部メンバーとのVMDチームを編成して万全の体制で臨ませて頂きました。私は「VMD監督」といったところです(笑) スキルも役割分担も完璧!メンバー全員が先生レベルなので結構最強な支援チームだったのではないかと自負しております。

 

写真では上手く伝わらないのですが、品揃え自体やPOP UPのブランドクローズアップもなかなか良く、まさに「商品で花を咲かせる」ことができました!

 

婦人靴も婦人雑貨もVMDや美陳列の維持継続が大変です。

 

靴はIPがすぐ崩れます。売上が落ちてくると商品量が増えてきます。

雑貨は色の並べ方が崩れて濁り、売場の印象が重くなってきます。アイテムの展開替えが頻繁にあるので什器配置も乱れがちです。

これは世の常。永遠の課題。だけど、意識して美観を維持するよう頑張って頂きたいものです。応援しています。

 

そして、計画通り売れますように!

 

次のリモデル計画でも、弊社にお声掛けをお待ちいたしております。