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キッコーマン「料理なら、色で言える。」

今朝(2018.12.7)の日経紙面、第67回日経広告賞の見開き掲載よりご紹介です。私はお恥ずかしながら実際のポスター等の広告を見たことがありませんでした(日経朝刊に出ていたハズなのに・・)が、このキッコーマンの広告が素晴らしい!「料理なら、色で言える。」

 

食品・医薬品・生活用品部門最優秀賞。「食の体験を通して「おいしい記憶」を積み重ね、こころもからだもすこやかに、ゆたかな人生をおくれるようお手伝いをしていきたい、というキッコーマンの思いを伝えた」のだそうです。私も思います。料理は色。素材も色。色の美しい料理は美味しく見える。同じ色相だけの料理や、差し色や補色の入っていない料理はシズル感に欠けちゃう。

 

料理だけではありません。何ごとも色に置き換えて考えることができますし、特に店頭ではしゃっちょこばって「VMD」とか言わないまでも、色の並べ方や打ち出し方がシンプルに一番重要と言えますが、こんなにストレートに色の美しさを感じる広告ってすごいですよね!

 

この色はなんの野菜?濃い紫の野菜は何??という感じでじーっと見てしまいます。よく見るとぜんぶクレヨンです。ボクらの年代でいうとクーピーペンシルのシルエット(笑)野菜をクレヨンのカタチに削ったのか。でもアスパラはそのもののカタチをしています。そうか…アスパラのサイズと太さカタチに他のクレヨンを揃えたのか。さらによく見ると、コーンもクレヨンのカタチをしています。あれ?ゴーヤもだ。もしかしてこれ全部イラスト??でもこれ、新聞ですので、ハッキリとは見えなんですよ!ハッキリと見たいから「キッコーマン 料理なら、色で言える」で検索してみたりする。そうすると、特設サイトが出てくるんですよ!

 

あれあれ?? もう、この広告にまんまとやられています(笑)

 

 

VMDでは「色の並べ方」がとても重要ですから、仕事柄こういうものを目にすると否応なく反応してしまいます(笑)でも、仕事とは関係なく、この広告を目にしてハッとされた方、素敵だな、美しいな、と思った方も多いのではないかと思います。最初の一目でそれだけの効果があり、さらにコピーライティングを読んで味わいを深めていくというわけです。巧いですね!

 

色に関しては、紙面だろうが店頭だろうが、二次元だろうが三次元だろうが、仕事だろうが趣味だろうが、関係なくこのような目の引き方をします。センスのあるなしは関係ありません。なぜでしょう。

 

色彩はシズル感だから。

 

万人に対し目を捉える色彩。センスのある人や美観の高い人にはより一層共感を与えるはずですし、全体の色彩構成が巧みであればその効果は絶大です。

 

 

このビジュアルを色の並べ方で見たときに、わかりやすくは以下のような特徴があります。

  • 黒がない
  • 白がない
  • 黒白とともに中間色もない

要は中間色がないんですよ。

 

純粋なる1色のものもありませんが、色の順番に並んで見えるということは1本につき1色で視覚的に認識しているということでもあります。

 

店頭での商品など、モノを色で並べたとき、色の分量にもよりますが、難しいのは黒の扱い。多色相混在においては、黒の分量と位置によってはヒジョーに重たく鈍重なイメージになります。白は万能薬ですが、入れる位置により毒にもなり得ます。中間色は多色素混在において雑に扱うと全体調和とテイストを乱します。

 

このビジュアルでは、ハッキリとした黒がありません。なので重くありません。ですが、濃紺が黒の役割(全体をしめてメリハリをつける)も果たしています。一番端にあるのもポイントです。

そして、ハッキリとした白もありません(大根はほぼ白ですが)が、紫キャベツに代表されるようにやんわりと混在していて、全体が重くなりすぎるのを防いでいます。黄⇒緑の流れの中間に白っぽさがあるので全体が明るく鮮やかなトーンに見えるのもポイントです。この色並びの中で、白を1本何処に刺すか?と言われたら難しいですよね。やはり大根の位置になりますが、やはりこの中では紫キャベツの位置づけがポイントであり重要ですね!

全体としては、紫・赤・黄・緑という野菜の色領域が自然に馴染んでいますよ。

 

そして、上から見たサラダの丸い絵が小さいながら横長のクレヨンの並びと対比され、単色としてのクレヨンを統合したビジュアルとして大変重要な役割を演じています。このサラダがあるとないとでは大違いです。

 

元々野菜のビジュアルだからと当然とは言えますが、グレーやベージュ、黒といった便利な中間色に頼らず、それらの色を補完する役割の色を充てるというテクニックは店頭の実展開でも応用できるものですし、今はあまりこのような展開は見られませんが、アイテム展開における色の並べ方の重要性とインパクト、そしてなにより新鮮さを再認識させられます。

 

色のインパクトだけではありませんよ。

 

野菜クレヨンの上下にはおおきくネガティブスペース(何もない空間)がとられています。コピーの周辺も余白が多く、広告の下部もネガティブスペースが空いています。これにより、キービジュアルであるクレヨンと、丸いサラダ、そして下端にある小さな商品写真もキチンと視認できるようになっています。

 

「括りと配置」が見事なのです。

 

そして、この広告の凄さは紙面の先にもあります。

 

私のように紙面で見てムム!と思った人は間違いなくネットで検索しますよね(笑)すると、スペシャルサイトが用意されているんですよ!このサイトがまた鮮やかで素晴らしい。横に奥に広がる素晴らしいコンテンツ。ぜひ皆さんにも観て頂きたいですね。

 

https://www.kikkoman.com/jp/memory/advertisement/ryouriiro/index.html